木曜日。パニックを鎮め、またモチベーションを高めるため、イメージライブラリに行きました。こういうときイチバンいい薬になるのが「ドUSA」な映画。アーティスティックで見た目にも内容もうつくしい、そんな映像作品をうみだすべく日々指導を受けているIAS学生の私ですが、同時にNYかぶれの反逆児でもあります。むさび映像科講師陣の"アンチ・ハリウッド"な傾向に断固否定的な私。中身なんてなくてばかばかしく、無駄にキスシーンやセックスばかりを映し、或いは殴り合い蹴飛ばし合い、意味もなくモメて、ヒーローが悪しきをくじくお決まりの結末、要するに言いたいのは"America is No.1"で、ナショナリズム丸出し、ふざけてて笑えて、ヒーローはナイスガイでヒロインはセクシー、娯楽という言葉がまさしくぴったりなそういう映画たち。あたしはそういうの、大好きです。だってそれを見れば誰かが笑い、誰かが喜び、元気になれるのだから。今日の映画史概説で先生が言ってたけれど、ウッディ・アレンの映画に、登場人物が映画を見て自殺を思いとどまるシーンがあるらしい。映画って、要はそこだと思う。確かにひとつの芸術表現のツールとしての映画もあるけれど、それだけが映画の姿じゃない。だから人は映画を愛してやまない。映画を見て楽しくなり、涙し、笑い、そして元気を貰う。そういうものだよね。・・とまぁ色々書いたけど、それで結局あたしが見たのは"Chicago"。ミュージカル色の強いキッチュでキュートな映画です。ロブ・マーシャルに逆ラブコールした数多くの女優陣から選ばれたのは、レニーとキャサリンの若干二名。関門をくぐりぬけただけの類い稀な美貌・歌唱力・才能を見せつけるかのごとく発揮しており、また、色男の匂い漂うリチャード・ギアが女優ふたりをひきたてており、自らの足でタップダンスも披露しています。ちなみにさりげなくルーシー・リューなんかも登場していて、豪華俳優陣にかためられた、正真正銘の「ドUSA」なこの映画。ブリジットジョーンズのシリーズではちょっぴり汚れキャラのレニーも、ここではブロンドのキュートな人妻ロキシーを演じておりとても魅力的。声もべとべとに甘くてとろけます。第一、ロキシー・ハートって名前からして愛くるしい。・・・が。しかし。やっぱりあたしにとっては、なんといってもキャサリンがNo.1なのです。ヴェルマの役どころ自体が好きだけど、そこにキャサリン=ゼタ=ジョーンズという個性が相俟って、ものすごいオーラを放っている。ワンショットのなかに何万と顔が並んでいても、彼女の顔は目立つ。そのくらいの華を備えており、しかも何より歌が抜群に上手い。そしてあの、ハスキーで艶ののった声。このあいだ風邪で声が出なくなったとき、このまま声が治らないのならキャサリンの声になればいい、と思ったくらい彼女の声があたしは好き。「Terminal」のときは珍しく正統派だったけれど、「Entrapment」でもゾロのシリーズでも、あるいはそれこそ「Oceans 11」とかでも、かっこよくて強く色っぽい、そういう女性を演じてきた彼女は、永遠に理想です。ダグラスの妻として、ビッグファミリーの一員として、また母親として、女優として、常に強く、同時にセクシーで、ときどき儚さをも垣間見せる、素敵な女性。
さらにこの映画のなかで最も好きなシーンのひとつに、監獄で6人の女性がタンゴにのせて歌い踊るところがあるのだけど、キャサリンとそのシーンを見ただけで元気が出、やる気が出ました。
同じミュージカル系映画と言えばわりと最近「Producers」を見、そっちもそっちでよかったけれど、こっちもこっちでやっぱり好きだわ、と思いました。というわけで、語り尽くしたらキリがないのでこのへんで切り上げます。おわり。